芸術の秋に『ごみアートの奇跡』を!

2020年オリンピック東京開催が決まりました。その前年には、世界三大スポーツ大会の1つである<第9回ラグビー・ワールド・カップ2019>が日本で開催されます。ぜひ、こちらもご記憶ください。

さて、季節は“スポーツの秋”そして“芸術の秋”。今回は『ヴィック・ムニーズ/ごみアートの奇跡』(原題WASTE LAND)というドキュメンタリー映画を紹介します。

<あらすじ>

ニューヨークを活動拠点として成功したサンパウロ出身の現代美術家ヴィック・ムニーズが、故郷ブラジルのリオ・デ・ジャネイロへ行き発想した、“アートと社会事業を結びつけるプロジェクト”の企画発案から作品完成後までの3年間を記録したもの。

リオ郊外にある世界最大のごみ捨て場<ジャウジン・グラマーショ>を訪れたムニーズは、リサイクル可能な素材を拾い集めて業者に売ることで生活の糧を得る“カタドール(=picker採集者)”たちと出会う。

ムニーズはそれぞれの人生のドラマを聞き、まず彼らのポートレートを撮影。そして“ごみ山”から集めたガラクタと土などを使って、カタドールたちの巨大ポートレートのモザイク画を、彼らとの共同作業で制作していく。

ヴィック・ムニースごみアートの奇跡フライヤー

監督:ルーシー・ウォーカー 
共同監督:ジョアン・ジャルディン、カレン・ハーレイ
音楽:モービー 
配給・宣伝:ユナイテッド・ピープル
98分/カラ―/英語・ポルトガル語(英語字幕+日本語字幕)/イギリス・ブラジル/2011年

最下層として世間から取り残された人々、ごみ収集人カタドールと総称される彼らですが、それぞれ豊かな個性を持ち、ドラッグ密売や売春をせずに生計を立てていることを誇りに思っています。

本をみつけると取って置き、自分の小屋で貸し出しを始めた知識人のズンビ。ごみ回収トラックの運転手からもらう食材などを使って、皆のために特別メニューを料理する常駐シェフのイルマ。「99は100じゃない」と哲学的発言をするのは、長老的存在のバルター。ごみ処理場で働く人々のための団体代表を務め、カタドールの生活向上に努めるカリスマ的若者チャオetc.

自らのポートレートが巨大な作品に変容していく作業に参加し、初めて“アート”というものを実感した彼らの気持ちも変容していくのです。完成した作品は撮影され、ムニーズはそれを世界的な美術オークションで売却し(高額で落札され)、全ての利益をカタドールのための団体に寄付します。アートが現実社会を変える、人を変えていく壮大な試みが描かれたドキュメンタリーです。

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イルマのポートレートをアトリエ上階22mから見下ろす
(c)Vik Muniz Studio

ごみアートって何!?と思われるでしょうが、制作過程の映像を見ると“こういうことだったのか!”という驚きと感動を、画面に登場している当事者カタドールたちと共有できます。原画となるポートレート写真自体に、それぞれの生きざまが凝縮されているのです。

このプロジェクトを紹介するテレビ番組で、司会者の「ごみ回収場」という言葉に「ごみではない、再生可能品のリサイクル回収所です!」と訂正するチャオの言葉が、印象に残りました。カタドールたちの働きにより、世界でもっともリサイクル率の高い処理場となったごみ捨て場<ジャウジン・グラマーショ>は、2012年に閉鎖されたそうです。

ヴィック・ムニーズ

カタドールが働くごみ山の前に立つヴィック
(c)Vik Muniz Studio

“環境資源”“ECOとともだち”をテーマに、技術開発力を通じて地球環境に貢献することを目指している弊社の理念に通じるものがあると考え、ご紹介する次第です。

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