菌でトウモロコシの収量アップ?

最近何かと話題の科学雑誌「nature」。
本日は、昨年2013年12月12日(電子版は12月10日)のVol.504(199)にニュースとして掲載された「Food fuelled with fungi」についてご紹介します。

この記事、natureダイジェスト2014年03月号では「作物収量アップのカギは内生菌?」と和訳されています。

内容を一言で言うと、アメリカで、干ばつ時でも大きなダメージを受けにくくしたという「BioEnsure™ (バイオエンシュア)」というトウモロコシ・イネ用内生菌(内生菌=エンドファイトと言います)が商品として発売されますよ、という記事です。

2012年夏にアメリカをひどい干ばつが襲い、トウモロコシの収穫が大ダメージを受けたことは記憶に新しいですね。乾燥耐性トウモロコシの開発は大手種苗会社がしのぎを削っており、最近下記2種が発表されています。

1)パイオニア・ハイブレッド・インターナショナル社のOptimum® AQUAmax™(オプティマム・アクアマックス)
  パイオニア・ハイブレッド・インターナショナル社はデュポンの系列会社。
  通常育種(非遺伝子組換え)のハイブリッド品種です。
  2012年からアメリカで商業栽培。
  オプティマム・アクアマックスの紹介ページはこちら(英語)

2)モンサントの DroughtGard™(ドラウトガード)(MON87460系統)
  遺伝子組み換え品種です。
  2012年アメリカで約250人の生産者により試験栽培、2013年より商業栽培開始。
  モンサントの日本語ページはこちら
  モンサントの英語ページはこちら

ドラウトガードは日本でも2011年に食品安全委員会で「ヒトの健康を損なうおそれはない」と判断されています。平成23年5月26日農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課発行文書はこちら

さて上記「nature」で紹介されている「BioEnsure™ (バイオエンシュア)」はというと、育種品種でも遺伝子組み換え品種でもなく、シアトルのAdaptive Symbiotic Technologies (アダプティブ・シンバイオティック・テクノロジーズ)が今年から発売する、トウモロコシまたはイネ用の内生菌(エンドファイト)です。同社のサイトによると、
1)発芽率向上
2)幼芽の発育と発達を促進
3)ストレス耐性の向上
4)水と肥料の消費量が少なくてすむ
5)収量同大
という特徴があるとのこと。
企業のサイトはこちら
バイオエンシュアの商業栽培はこれからですが、普及するかどうか興味深く見守りたいところです。

ところで、すでにゴルフコースや運動場用の芝生の世界では、耐旱・耐暑性に強い品種として内生菌(エンドファイト)を種子のなかに持っている品種(「エンドファイト活性」があるといいます)が発売されています。(上記記事ではこれを「ニッチ産業」と呼称していますが…)
たとえばペレニアルライグラスの「マンハッタンIV」「スパイダーLS」

さらに日本ではアメリカより一歩進んで、水稲用のエンドファイトが(独)理化学研究所と前川製作所の共同研究により商品化され、2012年に「イネファイター」という商品名で発売されれているのです(販売代理店は奥村商事)。
「nature」の記者さん、芝種子について言及したなら、「イネファイター」にも触れて欲しかったなぁ!

理化学研究所のイネファイター紹介記事はこちら

nature (ネイチャー) ダイジェスト 2014年 03月号 雑誌
グラスエンドファイト―その生態と進化
エンドファイトの働きと使い方―作物を守る共生微生物

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